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子どもの夜尿症

おねしょ幼児期のおねしょ(夜尿)はしばしばありますが、成長すると夜尿がなくなります。成人では夜間睡眠中は抗利尿ホルモンの作用により尿の産生が抑制されているため、夜間に膀胱は充満しづらく、たとえ就寝前に水分摂取が多くなった場合に、夜間尿量が多くなり膀胱が充満しても自然に覚醒して排尿できます。夜尿がある時期からなくなる過程では、1)抗利尿ホルモンの分泌量の増加、2)夜間の膀胱蓄尿量の増大(排尿コントロール)、3)膀胱充満時の覚醒、の3つの機能のバランスがとれるようになります。反対に、これらの機能のバランスがとれない場合に夜尿症となります。
夜尿は幼児期の生理的現象ですが、夜尿症では治療介入が考慮されます。夜尿症は、「5歳以降で月1回以上の夜尿が3か月以上持続するもの」と定義されています。夜尿症は年長児の約15%、小学校低学年で約8%、小学校高学年で約5%とされ、成長とともに治っていきます。このため、自然に治るものと考えられやすく経過観察される場合があります。しかし、夜尿が持続すると、こどもは自信をなくし、学校生活や心理面に影響を与えることがあります。自然に治っていく可能性のある夜尿症ですが、治療介入により早く治っていくことが知られています。(図X)小学校に入っても夜尿が月1回以上で続くようであれば、頻度は少ないですが別の病気が隠れている場合もありますので、お気軽に当院にご相談下さい。

以下では夜尿症を正しく理解して頂くためのポイントを解説します。

夜尿症の分類

  • 一次性:これまで夜尿が消失した期間が6か月未満の場合
  • ニ次性:これまで夜尿が消失した期間が6か月以上の場合

二次性夜尿では、別の疾患が背景にあることがあり、精査を必要とします。

一次性夜尿

  • 単一症候性夜尿:夜尿症のみ
  • 非単一症候性夜尿:昼間の下部尿路症状(下表)を伴う場合

表

非単一症候性夜尿で合併する昼間の下部尿路症状の原因としては便秘症、過活動膀胱、反復尿路感染症などがあります。非単一症候性夜尿では、これらの疾患の治療を優先して、治療後に夜尿症の治療を行うことが勧められています。

夜尿症に必要な検査

二次性夜尿では血液検査などが必要になりますが、基本的には評価は尿検査で行います。尿検査は、早朝第一尿で検査することが重要です。早朝第一尿で検査することで、尿蛋白、潜血、尿糖などを正確に行えるほか、尿比重、浸透圧から尿の濃縮力を評価できます。前日の就寝前に排尿して、夜尿がなければ早朝第一尿の尿量が計測できれば、夜間尿量を評価することができます。

夜尿症の治療

夜尿症の治療には、1)生活指導、2)抗利尿ホルモン治療、3)アラーム療法の3つが挙げられます。

生活指導

下記の事項をしっかり守ることで夜尿症の20〜30%は改善するとされています。

  1. 規則正しい生活をする(不規則な生活は夜尿を悪化させますまた、夕食から寝るまでは、可能であれば3時間あけましょう)
  2. 水分の取り方に気をつける(朝食と昼食では水分をしっかりとりましょう。就寝前の水分摂取は夜尿と関連するため、夕食も含めて就寝まではコップ1杯(200cc)程度までの水分摂取に留めましょう。)
  3. 塩分を控える(塩分の摂りすぎは、口渇による水分摂取になるほか、単独でも夜尿の原因になります。)
  4. 便秘に気をつける(便が腸に大量にある状態では、膀胱を圧迫するため夜尿の原因になる可能性があります。便秘の改善で夜尿症の多くは改善するとされています。)
  5. 寝る前にトイレに行く(夕食から3時間後に排尿ができれば、夕食時にとった水分の約80%が尿として排出されるため、夕食後の水分摂取が制限できれば夜尿は起きづらくなります。)
  6. 寝ている時の寒さ(冷え)から守る(冷えは尿量の増加や膀胱の縮小につながります。)
  7. 夜中に無理にトイレに起こさない(夜間にトイレに起こしても夜尿症の治療に効果はありません。)

抗利尿ホルモン治療

睡眠時に脳で分泌される抗利尿ホルモンの作用により、尿は濃縮され、尿の産生は抑制されます。子どもでは、その分泌量が少ないため、尿は濃縮されず、尿量が増加し夜尿になっている可能性があります。特に早朝第一尿の比重などを目安に濃縮力が低いとされた場合、抗利尿ホルモンと同様の効果がある薬を内服することで、夜間尿量が減少して夜尿が改善します。抗利尿ホルモン薬は体の水分が多い状態(水分摂取が過多など)で内服すると、水分が体内に貯留し水中毒を起こす可能性があるため、治療に際しては水分のとり方に十分気をつける必要があります。

アラーム治療

センサー付きのパンツを使用することで、おねしょの際、尿の水分をセンサーが感知しアラームで知らせます。この方法で繰り返し、おねしょを本人に認識させることで膀胱に多くの尿がためられるようになります。夜尿頻度が多い場合に適応があります。この治療は、夜中に毎晩アラーム音で家族は起こされ、家族への負担が大きいため、家族を含め強い治療意志が必要になります。

夜尿が持続すると、こどもは自信をなくし、学校生活や心理面に影響を与えることがあります。夜尿症についておおまかに解説しましたが、成長過程で排尿コントロールの未熟さがその原因です。自然に治る部分もありますが、治療介入により早く治癒するとされています。家庭での夜尿対策の3原則は「怒らない」「起こさない」「焦らない」ことです。本人の精神的なストレスは夜尿増悪因子の一つになるため、失敗した時はしからず、成功した時にはしっかり褒めようにしましょう。生活指導を守るだけで夜尿が改善する場合もありますが、様々な治療でも改善しない場合もあります。後者の場合は専門医療機関にご案内します。
夜尿でお悩みの場合は当院にご相談下さい。一緒に夜尿を克服しましょう。