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子どもの感染症

お子さんは特に乳幼児期は頻繁に発熱し、その原因は多岐に渡りますが、その大部分はウイルスや細菌による感染症です。ここでは、登園、登校停止の対象になる感染症を中心に解説します。

溶連菌感染症

症状

A群溶血性連鎖球菌(溶連菌)という細菌が原因です。主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。のどに感染して、発熱、強い咽頭痛、嚥下痛、倦怠感、発疹などの症状が出現します。のどの所見がとても重要で、のどの強い発赤(時に出血斑様)は特徴的であり、いちご舌や扁桃の炎症所見、白苔付着を認める時は溶連菌感染症の可能性を考えます。菌が作る毒素で発疹(紅色の点状ないし粟粒大の小丘疹)のみが症状である場合もあります。

診断

のどを綿棒でぬぐい、検体を採取して、迅速抗原検査により診断します。

治療

溶連菌は細菌であり抗菌薬で治療します。耐性菌が少ないため、治療反応性は良好で、1〜2日で熱は下がり、咽頭痛や発疹も消失します。治療後も熱が持続する場合は、溶連菌感染症による合併症や他の要因を考える必要があるため、早めにご相談下さい。
溶連菌感染症後の合併症として急性糸球体腎炎とリウマチ熱があります。これらの合併症の予防として、抗菌薬を7〜10日間しっかり内服することが重要です。処方された抗菌薬はしっかり飲み切りましょう。

登園・登校について

抗菌薬を内服後、24時間以上経過し、解熱していれば感染力はなくなっていますので、本人の体調が回復していれば、登園・登校できます。

咽頭結膜熱(プール熱)

症状

アデノウイルスというウイルスが原因です。主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。主な症状は発熱、咽頭痛、眼の充血です。扁桃の炎症所見、白苔付着を認め、眼の充血を伴う場合はプール熱の可能性を考えます。アデノウイルス感染症は発熱期間がやや長く、1週間前後することが多いです。

診断

のどを綿棒でぬぐい、検体を採取して、迅速抗原検査により診断します。

治療

アデノウイルスへの抗ウイルス薬はないため、解熱薬や感冒症状へのお薬を処方します。しっかり安静をとることがとても重要です。高熱が持続するため、体力が消耗して、元気がない、水分摂取が少ないなどの症状がある場合は受診をお願いします。

注意事項

アデノウイルスは感染力が強く、アルコールに対して抵抗性があります。感染対策としてはマスク着用、手指衛生が大切です。また、次亜塩素酸ナトリウム(ミルトンやハイターなど)による消毒が有効とされています。

登園・登校について

学校保健安全法では、「発熱、咽頭炎、結膜炎等の主要症状が消退したのち2日経過するまで出席停止とする」とされています。

RSウイルス感染症

症状

Respiratory syncytial virus(RSV)というウイルスが原因です。2歳までにほぼ100%感染するとされていますが、乳児期(特に6か月未満)の感染では、喘鳴や強い呼吸障害を伴う肺炎や細気管支炎を起こし入院治療が必要になる場合(感染者の1〜3%)があります。主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。典型的には発熱、強い鼻汁などの上気道症状が数日続き、その後咳や喘鳴などの下気道症状が出現してきます。

診断

鼻腔を綿棒でぬぐい、検体を採取して、迅速抗原検査により診断します。

治療

RSウイルスへの抗ウイルス薬はないため、解熱薬や感冒症状へのお薬を処方します。鼻汁分泌が強いため、乳児期は鼻詰まりで哺乳がうまくできなることがありますので、鼻詰まりが強い場合は、哺乳前に鼻吸引をすると哺乳がスムーズになります。呼吸が苦しくなると哺乳量が低下します。呼吸が速くなり、陥没呼吸(胸とお腹がぺこぺこする)を認める場合は受診する必要があります。

注意事項

RSVはヒトの手や環境の表面で数時間生存するとされており、手指衛生と接触感染予防が重要です。また、飛沫感染予防にはマスクの着用が有効です。

登園・登校について

解熱し、咳等の症状が安定し、全身状態がよければ登園・登校できます。

ヒトメタニューモウイルス感染症

症状

ヒトメタニューモウイルスというウイルスが原因です。ヒトメタニューモウイルスとRSウイルス(RSV)は近縁であり、ヒトメタニューモウイルス感染症ではRSVと同様の症状が起きますが、症状の程度はRSVよりやや軽症とされています。主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。典型的には発熱、鼻汁などの上気道症状で始まり、その後一部で喘鳴などの下気道症状が出現します。RSVは乳児で重症化リスクが高いのに対して、ヒトメタニューモウイルスは幼児で重症化のリスクが高いとされています。臨床症状のみでRSVとヒトメタニューモウイルスを区別するのは難しいとされています。

診断

鼻腔を綿棒でぬぐい、検体を採取して、迅速抗原検査により診断します。

治療

ヒトメタニューモウイルスへの抗ウイルス薬はないため、解熱薬や感冒症状へのお薬を処方します。

注意事項

下気道炎(肺炎や細気管支炎)では咳が強くなり、呼吸障害があると呼吸が速くなったり、陥没呼吸(胸とお腹がぺこぺこする)を認めたりする場合があります。このような症状では受診する必要があります。

登園・登校について

解熱し、咳等の症状が安定し、全身状態がよければ登園・登校できます。

手足口病

症状

エンテロウイルス(コクサッキーウイルスA6, A16、エンテロウイルス71など)というウイルスが原因です。夏かぜの一つです。ウイルスは腸管で増殖し、便中に含まれます。このため、基本的には糞口感染で伝播するとされていますが、咳などの症状がある場合は飛沫感染もあります。主な症状としては発熱、発疹、経口摂取不良です。発熱は約1/3程度で、38℃前後のことが多いです。口腔粘膜、手、足、膝、臀部に水疱疹や小紅色疹が出現します。口腔粘膜の粘膜疹は痛みを伴い、そのため経口摂取不良になり、点滴治療が必要になる場合もあります。

診断

出現する皮疹には分布や性状に特徴(小児の発疹症の項を参照)があり、臨床症状から診断します。

治療

エンテロウイルスへの抗ウイルス薬はないため、解熱薬や感冒症状へのお薬を処方します。口腔の粘膜疹は舌や口腔の前方に生じることが多く、痛みで飲水ができない場合はストローを使えるお子さんであればストローを用いると飲水できる場合もあります。経口摂取不良により尿量が低下したり、元気がなくなったりする場合は受診する必要があります。

注意事項

エンテロウイルスは中枢神経系に親和性が高いため、合併症には熱性けいれん、無菌性髄膜炎、脳炎・脳症などがあり、これらの合併に注意する必要があります。

登園・登校について

発熱がなく、経口摂取がしっかりできていれば登園・登校できます。
ウイルスの排出は発症後1か月程度糞便中に持続します。このため、排泄物の後始末後はしっかり手洗いする必要があります。

ヘルパンギーナ

症状

エンテロウイルス(コクサッキーウイルスA群)というウイルスが原因です。夏かぜの一つです。主な感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染です。主な症状は発熱、咽頭痛です。手足口病と異なり高熱を伴います。のどの口蓋垂近傍に水疱疹を伴うことが特徴的で診断に重要です。口腔の水疱疹は痛みを伴い、そのため経口摂取不良に注意する必要があります。

診断

咽頭所見に特徴があり、臨床所見から診断します。

治療

エンテロウイルスへの抗ウイルス薬はないため、解熱薬や感冒症状へのお薬を処方します。通常2〜3日で解熱します。

注意事項

エンテロウイルスは中枢神経系に親和性が高いため、合併症には熱性けいれん、無菌性髄膜炎、脳炎・脳症などがあり、これらの合併に注意する必要があります。

登園・登校について

解熱し、経口摂取がしっかりできていれば登園・登校できます。
ウイルスの排出は発症後1か月程度糞便中に持続します。このため、排泄物の後始末後はしっかり手洗いする必要があります。

マイコプラズマ感染症

症状

肺炎マイコプラズマという細菌が原因です。主な感染経路は飛沫感染と接触感染ですが、短時間の暴露による感染拡大の可能性は低く、濃厚接触が必要と考えられています。潜伏期間は2〜3週間で、感染しても発症まで時間を要します。初発症状は発熱、頭痛、全身倦怠感などで、初発症状出現後3〜5日から咳が始まることが多く、乾いた咳が特徴的です。しばしば、肺炎を合併し、学童期以降の肺炎の原因として頻度が高いです。また肺炎にしては全身状態が悪くないことが特徴で、胸痛も伴うことが多いです。

診断

のどを綿棒でぬぐい、検体を採取して、迅速抗原検査やPCR検査により診断します。
肺炎の診断には胸部X線検査が必要です。

治療

肺炎マイコプラズマは細菌であり、抗菌薬で治療します。第一選択薬はマクロライド系抗菌薬ですが、近年その耐性菌が増えています。通常2〜3日で効果を認めない場合は、耐性菌の可能性を考慮して他の抗菌薬へ変更します。抗菌薬内服後、2〜3日で症状の改善を認めない場合は受診が必要になります。

注意事項

マイコプラズマ感染症では肺炎が知られていますが、そのほか、蕁麻疹、溶血性貧血、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブン・ジョンソン症候群、脳炎など多彩な肺外合併症があり注意を要します。

登園・登校について

症状が改善し、全身状態が良ければ、登園・登校できます。

百日咳

症状

百日咳菌という細菌が原因です。主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。軽い感冒症状から始まり(カタル期、1〜2週間)、突然激しく咳き込み、その後ヒューという笛を吹くような音を立てて息を吸い込む咳発作がおきます(痙咳期、2〜6週間)。徐々に咳は治まる(回復期、2〜3週間)。3か月未満の赤ちゃんが感染すると、無呼吸という呼吸ができない状態が起き、脳炎を合併するなど重症化しやすく、死亡する場合があります。乳児期の発症を予防することがとても重要で、妊娠中に母体への3種混合ワクチン、赤ちゃんは2か月になったら5種混合ワクチン、学童期の兄弟へは3種混合ワクチンを接種することが予防方法になります。

診断

鼻腔を綿棒ぬぐい、検体を採取して、迅速抗原検査やLAMP法により診断します。

治療

百日咳は細菌であり、抗菌薬で治療します。ただし、咳は百日咳菌が作った毒素の作用で起きており、菌が消失後もしばらく咳は改善しない場合もあります。

登園・登校について

特有の咳が消失するまで、または日間の適切な抗菌薬治療が終了するまでは出席停止になります。

ロタウイルス感染症

症状

ロタウイルスというウイルスが原因です。主な感染経路は糞口感染、接触感染で伝播します。主な症状は重篤な下痢、嘔吐、発熱などです。酸臭を伴う白色便はロタウイルス胃腸炎の特徴です。ワクチン未接種の乳児の初感染では、重度の脱水からショックになることもあり注意が必要です。

診断

便検体を採取して、迅速抗原検査により診断します。

治療

ロタウイルスへの抗ウイルス薬はないため、軽症の場合は整腸薬や制吐薬を処方します。脱水の程度が強い場合は点滴を必要とします。

注意事項

消化器症状以外では、反復する痙攣、急性脳症(原因ウイルスとしてロタウイルスは3番目に多いとされています。)を合併することがあり、注意する必要があります。

登園・登校について

下痢、嘔吐症状が軽減した後、全身状態の良いものは登園・登校できます。回復後も排便後の始末、手洗いの励行は重要です。

ノロウイルス感染症

症状

ノロウイルスというウイルスが原因です。主な感染経路は糞口感染、接触感染、飛沫感染で伝播します。主な症状は頻回な嘔吐、発熱、下痢などです。症状のみでノロウイルス感染症とロタウイルス感染症を区別することは難しいとされています。

診断

便検体を採取して、迅速抗原検査により診断します。

治療

ロタウイルスへの抗ウイルス薬はないため、軽症の場合は整腸薬や制吐薬を処方します。脱水の程度が強い場合は点滴を必要とします。

注意事項

消化器症状以外では、反復する痙攣を合併することがあり、注意する必要があります。

登園・登校について

下痢、嘔吐症状が軽減した後、全身状態の良いものは登園・登校できます。回復後も排便後の始末、手洗いの励行は重要です。

細菌性腸炎(サルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌など)

症状

サルモネラ、カンピロバクター、病原性大腸菌などの細菌が原因です。主な感染経路は経口感染、接触感染で伝播します。主な症状は重篤な下痢、血便、発熱、腹痛、嘔吐などです。ウイルス感染症と比較して、どの症状も程度が強くなることが多いです。

診断

便検体を採取して、培養検査により診断します。

治療

細菌感染症であり抗菌薬、整腸薬を処方します。必要に応じて点滴を行います。

注意事項

カンピロバクターでは、発症数週間後にギランバレー症候群という末梢神経麻痺疾患を併発することがあり注意する必要があります。

登園・登校について

下痢、嘔吐症状が軽減した後、全身状態の良いものは登園・登校できます。回復後も排便後の始末、手洗いの励行は重要です。

インフルエンザ

症状

インフルエンザウイルスというウイルスが原因です。主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。主な症状は発熱、強い咳嗽と倦怠感、関節痛、筋肉痛などの全身症状です。他のウイルス感染と比較すると全身症状が強いのが特徴です。

診断

鼻腔を綿棒でぬぐい、検体を採取して、迅速抗原検査により診断します。検査のタイミングは、迅速抗原検査では発熱後、最低12時間以上経過していることが望ましいです。

治療

抗インフルエンザ薬で治療します。発熱、強い咳が持続し気管支炎、肺炎が疑われる場合には二次性細菌感染を考慮して、抗菌薬を併用する場合があります。

注意事項

気道粘膜を強く障害するため、二次性細菌感染を起こしやすく、肺炎や中耳炎の合併に注意する必要があります。小児ではけいれんを合併しやすく、脳炎・脳症の原因ウイルスとしては最多であるため、重症化予防のためにはワクチン接種が重要です。

登園・登校について

発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで出席停止となります。

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)

症状

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)というウイルスが原因です。主な感染経路は飛沫感染と接触感染で、特徴的なのは密閉された空間で人の接触が多い場所(密度の高い環境)では感染が拡大しやすいことです。症状は、発熱、鼻汁、咳嗽、咽頭痛といった感冒症状ですが、小児は無症状〜軽症が多いのが特徴です。しかし、基礎疾患のあるお子さんは重症化リスクがあるため注意が必要です。

診断

鼻腔を綿棒でぬぐい、検体を採取して、迅速抗原検査により診断します。検査のタイミングに関しては、迅速抗原検査ではインフルエンザと対照的で発熱直後でもウイルス量が多いため診断が可能です。

治療

小児は多くの場合軽症であるため、対症療法が主体になります。重症化リスクのある基礎疾患を持つお子さんには、抗ウイルス薬(モルヌピラビル)が検討されることもあります。

登園・登校について

症状がある場合は、発症日から 5 日間経過し、かつ症状軽快から 24 時間経過した後。
症状がない場合は、検体採取日から 5日間経過後。