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アレルギー性鼻炎

花粉イメージアレルギー性鼻炎の特徴的な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりで、鼻粘膜でのアレルギー性炎症により起きます。アレルギー性炎症の特徴は痒みで、痒みの訴えや痒みに伴う身体的サイン(鼻こすり、鼻いじり、目こすりなど)も生じやすいです。近年、小児のアレルギー性鼻炎は増加傾向にあります。特に花粉症で顕著になっており、低年齢化の傾向を認めています。そして、花粉症の増加に伴い、アレルギー症状を誘発する花粉と交差反応を示す食物を摂取することでアレルギー症状が誘発される食物アレルギー(花粉―食物アレルギー症候群)も増加傾向にあります。アレルギー性鼻炎は鼻粘膜での炎症ですが、鼻炎のコントロールが不十分だと気道への炎症の波及により咳き込みやすくなったり、アレルギー性炎症の鼻粘膜はウイルス感染に弱く感冒を反復しやすかったり、日常生活に支障をきたす場合もあります。アレルギー性鼻炎は一度罹患すると自然寛解しにくい(20%未満)とされており、適切な治療介入が重要です。鼻炎が疑われる場合、鼻炎のコントロールが悪い場合、鼻炎による食物アレルギーが疑われる場合など当院へお気軽にご相談下さい。

以下では小児のアレルギー性鼻炎を正しく理解して頂くためのポイントを解説します。

定義と分類

アレルギー性鼻炎は鼻粘膜のI型アレルギー性疾患で、発作性・反復性くしゃみ、水様性鼻汁、鼻へいを3主徴とします。分類としては、通年性と季節性に分類されます。
通年性の多くは室内塵ダニ(house dust mite)アレルギーで、後者のほとんどは花粉症です。

診断

鼻炎の原因がアレルギー性炎症によることを証明することが必要で、下記のような検査があります。

  • 血液検査 血清特異的IgEが陽性(ハウスダスト、スギなど)
  • 鼻汁好酸球 陽性
  • 鼻粘膜所見 下鼻甲介の鼻粘膜粘膜の腫脹(白色)、水様性鼻汁
  • アトピー素因(アレルギー疾患の既往歴、家族歴)

鼻粘膜所見で典型的な所見を認めた場合は、アレルギー性鼻炎と診断できます。原因の特定には血清特異的IgE検査、皮膚テスト、鼻誘発試験などの検査が必要です。
当院では鼻粘膜所見の診察と血清特異的IgE検査を行うことができます。

治療

治療目標は「日常生活に支障をきたさない程度に症状を安定させること」です。

アレルゲン除去と回避

血液検査などで原因アレルゲンが特定されている場合は、アレルゲンを回避、除去(環境整備)することは最も基本的かつ有効な予防対策になります。

薬物治療

アレルギー性鼻炎の治療薬には抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、ステロイド点鼻薬、生物学的製剤などがあります。病型や重症度により薬剤を選択して、治療目標を達成できるように治療します。これらの治療薬は、基本的には症状を軽減させるための対症療法になります。一方、アレルゲンが特定されていて、原因がスギとダニ場合には舌下免疫療法があります。この治療法はスギやダニへのアレルギー反応を抑制する治療で根治的療法になります。(舌下免疫療法に関しては別項で解説します。)

アレルギー性鼻炎とウイルス感染

アレルギー性鼻炎の鼻粘膜ではウイルス感染防御に必要なインターフェロンの産生が抑制されているという報告があり、またアレルギー性炎症があると鼻粘膜の上皮バリア機能が低下するとされています。実際、通年性アレルギー性鼻炎があり、風邪を繰り返していたお子さんに対して鼻炎をしっかりコントロールをすることにより、あまり風邪を引かなくなったという話を保護者から聞きます。

通年性アレルギー性鼻炎と気管支喘息

「通年性アレルギー性鼻炎の小児の約3〜4割が喘息を合併する」とされ、「喘息を有する小児の約50〜80%がアレルギー性鼻炎を合併する」とされています。通年性アレルギー性鼻炎があると喘息を発症する可能性があり、喘息のコントロールに通年性アレルギー性鼻炎のコントロールは重要とされています。“One airway, One disease”という概念があり両者はとても強い関連性があります。慢性的な鼻の症状があり、風邪をひくと咳が長引く、運動時に咳き込みやすい、喘息のコントロールが悪いなど、これらはアレルギー性鼻炎をしっかりコントロールすることで症状が改善される場合が多いです。

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花粉症と食物アレルギー

スギ花粉症は春先の花粉症としてよく知られていますが、それ以外の花粉でもアレルギー性鼻炎が起こります。その場合、体の中では花粉に対するIgE抗体が作られのですが、その花粉に対するIgE抗体が食物(主に果物や野菜)に反応する場合があります。このような花粉と食物の両方に反応することで起こる食物アレルギーを花粉食物アレルギー症候群と呼んでいます。よく知られているのは、シラカンバに対するIgE抗体がバラ科食物(りんご、さくらんぼ、モモなど)に交差性を持つことで、バラ科食物を食べた時にアレルギー症状が認められます。花粉食物アレルギー症候群の多くは口腔内症状のみであるため口腔アレルギー症候群とも呼ばれています。が、一部アナフィラキシーを誘発する場合もあり、注意が必要です。生野菜、果物を食べると口の中がイガイガするなどの口腔内症状が出ることでお困りであれば、当科にお気軽にご相談ください。

食物アレルギーはこちら

舌下免疫療法

舌下免疫療法アレルギー性鼻炎は一旦発症すると、自然寛解が少ないとされ、長期的治療が必要になります。舌下免疫療法は、ダニアレルギーによる通年性アレルギー性鼻炎およびスギ花粉症に対する根治的治療です。ダニ抗原、スギ抗原を舌の裏側の粘膜に曝露させることを継続することにより、両抗原に対するアレルギー反応を抑制(免疫寛容の誘導)することができ、しっかり免疫寛容が誘導されれば、他の治療が不要になる可能性があります。治療適応はアレルギー性鼻炎の重症度を問いません。毎日の投薬で3〜5年間の治療が推奨され、治療終了後も効果が持続するとされています。治療効果は60〜80%と高い効果が報告されています。副反応は局所反応(のど、口腔内、耳といった投与部位周囲の症状)は認められることが多いですが、全身反応、特にアナフィラキシーといった重篤なアレルギー反応が認められることは稀とされています。(ただし、投薬時の注意事項を遵守していることが重要です。)気管支喘息ではアレルギー性鼻炎を高頻度に合併しますが、気管支喘息で舌下免疫療法を導入するに際しては、気管支喘息が良好にコントロールされている必要があります。投薬方法としては、舌下で薬を1分間保持させてから、飲み込むという形になるため、薬を舌下で保持できる年齢から治療が可能になります。
舌下免疫療法は、新たなアレルギー疾患発症を抑制する可能性や新たなアレルゲン感作を抑制する可能性も示唆されています。
舌下免疫療法を希望される方は当院へご相談下さい。